問1 細胞の核内ではDNA合成(複製)が行われるだけでなく、同じ核酸の似た構造の分子であるRNAも合成される。 DNAの動きだけ、あるいはRNAの動きだけを追跡する時、それぞれに特異的な放射性物質を含んだ原料を使うがそれはそれぞれ何か? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答 DNAー放射性チミジン(DNA固有の塩基で、RNAには含まれないチミンとデオキシリボースの結合体) RNAー放射性ウリジン(RNA固有の塩基で、DNAには含まれないウラシルとリボースの結合体) 解説 実際にはその原料の水素部分に放射性を持つトリチウム(三重水素・陽子1・中性子2)をとりこませる。 問2 2n=8の生物の細胞を、最初のDNA合成期のみを放射性チミジンを含む培地で育て、1回体細胞分裂を起こさせる。その際、細胞分裂中期にある染色分体(娘染色体)の何本に放射性が検出されるか? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答 16本 解説 8本の染色体のため、細胞分裂中期には染色分体は16本。そのすべてから放射性が検出される。 問3 問2で1回分裂を終えた細胞を通常に非放射性培地で育て、2回目の体細胞分裂をさせた時に染色分体(娘染色体)の何本から放射性が検出されるか? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答 8本 解説 各染色体の2つの染色分体(娘染色体)の中で、片側にのみ放射性が検出される。放射性が検出される染色体が分裂の際、どちらの側に並ぶかは偶然でランダムである。 以上を図式化すると以下のようになる。 放射性を赤で表現すると、 1回目の複製では二重らせんの片側に放射性が含まれるが、二重らせんがメルマガ4でやったように複雑に折りたたまれて存在するため、らせんの片側にでも放射性があれば全体として 放射性があるように検出される。図では赤が少しでも見えていれば放射性があるので全染色分体(娘染色体)が放射性を持つ。 2回目の複製では、新しく取り込まれる原料が非放射性なため、もともとの鋳型となるらせんが非放射性(黒)であった場合は、新たな染色分体(娘染色体)は非放射性(図で黒)のみとなる。 そして鋳型となるらせんが放射性(赤)だった場合は、あらたな染色分体(娘染色体)も放射性を持つ。 よって図のようにどの染色体での片側の染色分体(娘染色体)が放射性、片側が非放射性となる。 |