設問1 DNAの特定の塩基配列を認識して切断する酵素を制限酵素といい様々な制限酵素が見つかっている。 下図の右上が制限酵素BamHIが認識する塩基配列と切断面である。 DNAを構成する各塩基数が同じでランダムに配列しているとすると、この制限酵素で処理すると、 理論上は平均何塩基配列のDNA断片ができるか? ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 4096塩基 解説 6塩基GGATCCを認識するので 1文字目 Gがくる確率が1/4 2文字目 Gがくる確率が1/4 よって6塩基では (1/4)の6乗 = 1/(2の12乗) =1/4096 4096塩基に1回切断されるので、断片の平均長は4096塩基となる。 なお1000塩基(base)をキロベースというKbで示す。 制限酵素の種類によっては切断の仕方や認識配列の数など異なるが ・反対側の鎖を逆向きに読むと同じ配列となっている場合が多い。これを回文構造という。 → GGATCC CCTAGG ← ・切断端には図の赤で示したように1本鎖の突出部が存在し、「のり」に相当するDNAリガーゼで処理すると再結合できる。 という特徴を持つ。 ★設問2 BamHIである人のある部分の遺伝子をもつDNAを切断した。 健常遺伝子Aでは図のように6kb断片しかできないが、 疾患遺伝子aでは4kbの位置がGGATTCからGGATCCに変化し、BamHIで認識する配列になっている。 健常者AA、保因者Aa、疾患発症者aaのDNA断片をBamHIで処理し、電気泳動した結果は@ABのそれぞれどれか? ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 健常者AA@ 保因者AaA 疾患発症者aaB 解説 制限酵素で処理したDNA断片を電気泳動すると断片長の違いが帯状に出現し区別できる。 電気泳動とは、図にあるようなほぼ正方形の寒天などに、図の上側の部分の溝にDNA試料を入れたのちに下側を+、上側をーにするように電圧をかける。 DNAは電離するとーを帯びるため+極側(図の下側)に移動するが、移動速度は小さなDNAのほうが早い。 したがって2,4,6Kbの断片のバンドが図のような位置にくる。 健常者AAは6Kb断片のみなので@、保因者Aaは6kbと4kb,2kb断片がありA、疾患発症者aaは4、2kb断片が多いが、一部に切断させなかった6kb断片も残るのでBとなる。 なおバンドの太さは量を示す。 (図では変異に関与する5段目塩基を強調して示している。4kbの位置がT(黒字)のままだと切断されず、C(赤字)に変異すると切断される。 |