カイロウドウケツ(偕老同穴) 海底に生息。すきまの穴の中にエビ(同穴エビ)が雌雄1匹ずつ2匹いる。その様子が仲よい夫婦に見えるので、 中国で夫婦が仲良いことを示す諺 「老いて偕りて、同じ穴に入る」(死んでからも同じ墓穴に入るほど仲よい)から命名された。 カタカナ表記だけでは「お化け」かと思ってしまうが、漢字の意味を知るとロマンティックですね。 生物名はカタカナ表記が解答用紙に書く基本ですが、本メルマガでは由来・意味がわかりやすいように漢字を使います。 ★設問1 原生動物門の特徴は何か?原生動物門を4つの綱に分けた時の名称と具体的生物名を書け(古い分類基準でよい)。 ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 単細胞・真核の生物である。 べん毛虫綱 ーミドリムシ・クラミドモナス・夜光虫・立襟べん毛虫(タテエリベンモウチュウ) せん毛虫綱 ーゾウリムシ・テトラヒメナ・ツリガネムシ 根足虫(肉質虫)綱 ーアメーバ・太陽虫(タイヨウチュウ) 胞子虫綱 ーマラリア原虫 解説 実は「門」分類だけでなく 「綱」分類についても諸説があり、呼び方も複数ある。しかし本メルマガでは入試において一番出題される分類法で説明する。 1〜数本の長いべん毛をもつのがべん毛虫綱。短い多数のせん毛をもつのがせん毛虫綱。 細胞質を含む突出部(根足・肉質)があるのが根足虫。太陽虫は太陽の光の輪のように細胞質の突出部が多数ある。 マラリア原虫など胞子虫綱は寄生虫が多く、 生活のある時期を胞子のようになって過ごす。単細胞の寄生虫にはこのグループが多く、原虫と言われる。 また単細胞の真核生物は、五界説では原生生物界(プロチスタ界)といい、動物界には含めない独立の界である。しかし、動物分類の入試問題では、原生動物門を動物界の1つに扱う。 植物界・菌界と原生生物界の関係も同様で、 五界説ならば単細胞の植物・菌は「原生生物界」に含め、「植物界」「菌界」からは除外するが、 実際の入試問題で「植物の分類」「菌の分類」では単細胞のものも含めて考える。 つまり、原生生物は「五界説」以外では、動物界・植物界・菌界の一員として解釈する場合も多い。(つまり時々に応じて違う) また「夜光虫・ミドリムシ・クラミドモナス」は植物にも動物両方に解釈される。 また五界説では「原生生物界」(Protista)といい、動物分類では「原生動物」(protozoa)というが、 原生生物という場合には明らかに動物的特徴をもたない単細胞の菌・植物も含める ★設問2 原生動物の綱の中でのちに多細胞生物(後生動物)の共通祖先となったのは何か?またその生物が最初に多細胞化した原型に近い門を答えよ。 ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 べん毛虫綱の立襟べん毛虫 (ベン毛の周りに襟状のおおいがある単細胞生物) 海綿動物門 解説 せん毛虫綱・根足虫綱・胞子虫綱はずっと発生以来単細胞生物のままである。 べん毛虫綱の一部だけが、約10億年前、集合し多細胞化した。私たちはその子孫である。 多細胞の真核生物を、原生動物と対比して「後生動物」と総称することがある。 ★設問3 海綿動物の具体名を3つほど書け。水流を起こす細胞名を書け。また胚葉はあるか?またその他の特徴をいくつかあげよ。 ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 海綿・淡水海綿・偕老同穴 ・「えり細胞」(内部にあり、べん毛をもち水流を起こす。) ・胚葉の区分はない(内外2層の細胞層にはなっている) ・胃腔・変形細胞や骨片をもつ。 解説 ・えり細胞は立襟べん毛虫由来。これが起こす水流で、側面に多数あいた小孔から水を入れ、 内部の胃腔という空間を通し、上部の煙突の穴にような大孔から水を出し、その中にいるプランクトンなどをこし取って食べる。 ・変形細胞は取り込んだものの食作用を行う ・骨片は炭酸カルシウムやケイ酸質など。写真の偕老同穴はケイ酸質の骨片が残ったところ。 ・英語でsponge(スポンジ)といい、入浴や化粧用のスポンジとして用いていた。今は石油化学工業の製品に変わった。 |