設問1 グリフィスの結果を追試したアベリーが、遺伝子本体がDNAであることを確かめた2段階の実験を説明せよ。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 第1段階 S型菌の破砕抽出液をまず、DNAを主に含むDNA分画とタンパク質を主に含むタンパク質分画に 分離した。前者をR型菌に加えると形質転換が置き、後者を加えても形質転換が起こらないことを確認した。 第2段階 DNA分画を更に、DNA分解酵素、RNA分解酵素、タンパク質分解酵素で処理した上で、 R型菌に加える実験を行った。DNA分解酵素で処理した場合は形質転換が起こらないが、RNA分解酵素・タンパク質分解酵素で処理した場合は形質転換が起きる。 解説 第1段階の物理的分画の実験だけでは「DNA分画に残っていた少量のタンパク質が遺伝子として 働き形質転換させたのではないか?」という批判があったので、更に化学的に処理した実験を組み立てた。 これにより、遺伝子本体はタンパク質でなくDNAだということはほぼ証明されていたのであるが、 当時はまだ「遺伝子本体はタンパク質」という説も根強かったため、1952年に別の研究者が別の素材で 確かめる同じことを確かめる実験を行った(明日述べます)。 ★設問2 R型菌を培養すると、100万個体に1個ぐらいの割合でS型菌が生まれることがある。この現象を何というか? ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 突然変異(mutation) ★設問3 R型菌を加熱殺菌したS型菌とまぜて培養すると、100個体に1個体ぐらいの割合で、S型菌が生まれることがある。これを何というか? ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 形質転換(transformation) 解説 形質転換は特段の原因がなくても低い確率(100万分の1)で起きる突然変異に比べ、S型DNAの存在によって 高い確率(100分の1)で起きる。ただ10個体中99個体はR型菌のままであり、シャーレで育てれば、 99コロニーはR型で、1個のみがS型になっている。あくまでも形質転換したS型菌は少数であることに注意。 ★設問4 設問3で作った混合培養液をネズミに注射し、しばらくのちに、ネズミから血液をとりだし その中の肺炎双球菌を培養したコロニーをつくった。どのようなコロニーがみられるか? ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 S型菌のコロニーのみできる。 解説 注射前はR型菌が多数存在したはずであるが、ネズミ体内では白血球がR型菌を貪食(どんしょく)し、 S型のみが生き残り増殖するので、S型のみとなる。 ★設問5 シャーレや試験菅内などでの実験結果と、生体内での実験結果がこのように異なることがある。 学問的に、試験菅内実験と生体内実験を区別する用語は何か? ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 in vitro(試験管内) in vivo(生体内) (メルマガでは表現できないが、図の中の単語のように斜体・イタリックで書く) 。 |