08名古屋大(生物)問題の続き(一部改)です。 「主要なアルデヒド脱水素酵素はミトコンドリアに存在し、触媒活性の強さから3種類の型に分類される。 これをそれぞれXYZと呼びことにする。一人の人がどの型を保有するかは遺伝的に決まっているため、同意の得られた成人男性80人のDNAを分析し、保有する型を明らかにした。 次に同じ80人の腕の皮膚にエタノールを3滴垂らしたばんそうこうをはり、7分後にはがした。 ばんそうこうをはがした直後、エタノール接触部位が赤くなった人の割合を調べたところ、Xは60%、Yは30%、Zは1%だった。 エタノール接触部位が赤くなるのは、アセトアルデヒドが皮膚に蓄積するためである。触媒活性の最も強い型はXYZのどれか?」 ↓ ↓ (しばし考える) ↓ ↓ ↓ 答「Z」 ●解説 アルコールの代謝は エタノール ↓ (アルコール脱水素酵素、ADH) ↓ アセトアルデヒド ↓ (アルデヒド脱水素酵素、ALDH) ↓ 酢酸(解毒) ADHは誰もが十分に反応に必要な量保持している。 ALDHには2タイプあり、ALDH1は誰もが持つが、ALDH2の酵素活性には個人差があり、これが「お酒の強さ」に関連する。 ALDH2活性はALDH2遺伝子の第12エクソンの114〜116番目の塩基がGAAかAAAかで決まり、GAA(グルタミン酸)の場合活性が高く、AAA(リシン)の場合活性が低い。 個々人は、父母から遺伝子を受け継ぎ ・それが両者GAA、GAAの場合、「お酒に強いタイプ」 ・GAA、AAAの場合「少し飲めるタイプ」 ・AAA、AAAの場合「ほとんど飲めないタイプ」 となる。 AAA、AAAの場合、過度な飲酒をすると、アセトアルデヒドが滞り、生命に危険を脅かすほどの量となるため、「急性アルコール中毒」になりやすい。 ●ALDH2は四量体 以上までの認識で十分な場合もあるが、更につっこんで正確なことが聞かれる場合に備えて説明する。 酵素ALDH2は四つの構造が結合する4量体であり、遺伝子はその1つ1つを決める。 GAA型は活性のある構造●を作り、AAA型は活性のない構造○を作る。 ・GAA,GAA型の場合、四量体は全て●●●●になり活性を持つ。 ・AAA、AAA型の場合、四量体は全て○○○○になり活性を持たない。 ・GAA、AAA型の場合、●と○が1:1でできるため 四量体は ●●●● ●●●○ ●●○● ●●○○ ●○●● ●○●○ ●○○● ●○○○ ○●●● ○●●○ ○●○● ○●○○ ○○●● ○○●○ ○○○● ○○○○ の16通りとなる。 十分活性のあるものは●●●●のみでできた四量体のうち1/16のみが 十分活性のあるものとなる。 しかし、わずか1/16の量でも日常の簡単なつきあい(ビールコップ1・2杯ぐらい)程度ならば、アセトアルデヒドが生命に危険を脅かす量にならない程度に分解できるため、「少しは飲めるタイプ」となる。 ●日本人は5:4:1 日本人の場合 GAA、GAA(強いタイプ)5 GAA、AAA(少し飲めるタイプ、ヘテロ型)4 AAA、AAA(飲めないタイプ)1 である。私は遺伝子検査でGAA、AAA(ヘテロ型)とわかった。日常生活ではお酒を飲むとすぐに顔が赤くなるタイプである。 |