昨日のGタンパク共役型レセプターと「双璧」の流れを説明します。今日は設問ではなく解説です。 ★「チロシンキナーゼ型レセプター→Ras・Mapキナーゼ」について 1、キナーゼ(kinase)とは「タンパク質リン酸化酵素」のことで、分子を活性化し、 その活性化パワーを次の分子をリン酸化する形で伝える性質があります。これを「タンパク質リン酸化カスケード」といいます。カスケードは流れる滝のような連続反応を示します。 図中で細胞内の赤●がリン酸化された場所を示します。 なおキナーゼだけで明日特集を行います。それぐらい二次で重視され出題も増えています。 2、この「チロシンキナーゼ型レセプター」に受け止められる物質(リガンド)としては 「インスリン」 「○○増殖(成長)因子」 が有名です。 「○○増殖因子」は「○○」に器官組織名が入ります。たとえば「上皮増殖因子」です。 これはその細胞の細胞分裂=増殖を促進するということです。 英語だと○○ Growth Factor(○GF)で、「上皮増殖因子」はEpidermal Growth Factorで「EGF」です。 ちなみにこのレセプターは○GFR(Rはreceptor)で「EGFR」は上皮増殖因子レセプターです。 適量だと適量な増殖が起こりますが、これが暴走すると「ガン」になります。たとえばEGFRの過剰発現はガンの遺伝子検査の指標です。 1、リガンドが接近結合すると細胞膜上で別々に存在していたレセプターが接近し「二量体」となり、 お互いを細胞内部位でリン酸化する。このリン酸化部位がアミノ酸のチロシンの部分なので「チロシンキナーゼ」という。 (なお、「増殖因子」の場合はこうですが、 インスリンレセプターの場合はインスリンがくる前に最初からレセプターは接近しています。 ただインスリンがくると内側でリン酸化するのは同じです) 2、リン酸化されたレセプター内部は何段階かの仲介物質を経て、Rasという細胞膜内側のタンパク質に結合していたGDPを解離させ、GTPを結合させ、Rasを活性化します。 3活性化されたRasはMAPKKKをリン酸化して活性化します。(図で赤で示し、リン酸の赤●をつけている) 4、活性化したMAPKKKは次にMAPKKを活性化、次に活性化したMAPKKがMAPKを活性化し、その活性化情報が核内に伝わり遺伝子発現にスイッチONが入ります。 (MAPKKK,MAPKK,MAPKは連続反応が起きやすいように、細胞膜内側の足場タンパクに埋め込まれ、隣り合って存在している。 ★MAPKKK、MAPKK、MAPKとは? MAPは固有名詞と考えてください。Kはキナーゼ(リン酸化酵素)の略ですので MAPKKKは「マップキナーゼキナーゼキナーゼ」と読みます。 MAPKKKは「MAPKK」をK(リン酸化する酵素)ということです。 MAPKKKがMAPKKをリン酸化・活性化し、MAPKKがMAPKをリン酸化・活性化し、MAPKが次のものをリン酸化・活性化するのです。 「MAP」という固有名詞を「シャンシャン」に置き換え、「K」を「お母さん」とすると 「シャンシャンのお母さんのお母さんのお母さん」(シャンシャンKKK)」 が 「シャンシャンのお母さんのお母さん」(シャンシャンKK) を産み、次にそのシャンシャンKKが 「シャンシャンのお母さん」(シャンシャンK) を産み、シャンシャンKがシャンシャンを産んだということに近い表現です。 |