●設問1(08名古屋市立大) 「硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオンは、 生物遺体 ↓ 1 ↓ 2 ↓ 3 ↓ 2 ↓ 1 ↓ 窒素を含む有機物 という順序で変化して自然界を循環している。 3→2→1の変換は植物体で起こり、 1→2→3の変換は主に土壌中の細菌によって進められる。これらの細菌は1→2、2→3への変換過程で生じるエネルギーを使って二酸化炭素を同化している。 問1 1、2、3のイオン名を書け 問2 1→2、2→3を行う細菌はそれぞれ何か? 問3 このような炭酸同化作用は何と呼ばれるか?」 ↓ ↓ (しばし考える) ↓ ↓ 解答 「問1 1アンモニウムイオン 2亜硝酸イオン 3硝酸イオン 問2 1→2亜硝酸菌 2→3硝酸菌 問3 化学合成」 ●設問2(09東海大医学部/改) 「植物など生物が外界から窒素成分を取り入れ、体を構成する物質に変える過程を( 1 )という。 植物が根から吸収した( 2 )は( 3 )に還元される、、( 3 )の窒素はアミノ基として中間物質に取り込まれる。 最終的に呼吸や光合成の過程でできた種々の有機酸にアミノ基が移り、様々なアミノ酸が生成される反応を( 4 )という。」 ↓ ↓ (しばし考える) ↓ ↓ 解答 「1窒素同化 2硝酸イオン 3アンモニウムイオン 4アミノ基転移反応」 ●窒素同化とは? 炭水化物(糖質・CHO)と脂質(基本的にCHO)はCHOが骨格なので光合成由来のグルコースとその分解産物から合成できます。 (ただし、リン脂質はNP含むのでNP供給が必要) しかし、タンパク質・核酸はCHONを骨格とするので、光合成由来のCHOに根から吸収したNO3-を出発点とした Nを含む成分を結合させることではじめて合成できます。タンパク質の構成単位であるアミノ酸を合成する反応のことをNを体に同化していく反応なので「窒素同化」といいます。 ●窒素同化は根でなく「葉緑体」 Nを吸収するのは根ですが、実際にN(正確にはNH4+)と光合成産物由来の有機酸(CHO)を結合させる現場は葉の葉緑体です。 葉緑体は光合成だけでなく窒素同化もしている点を見落とさないでください。 なおアミノ酸合成というと「タンパク質→肉・魚→動物が合成」と「勘違い」している人がいますが、 実際には葉の葉緑体が合成しています。動物はそれを食べて(更にそれを食べた動物を食べて)濃縮しているだけです。アミノ酸合成の主役は植物です。 ●窒素同化の基本 N(NH4+)+各種有機酸(CHO) →各種アミノ酸(CHON) であり、「有機酸にNを積む作業」と単純化できます。 ●窒素同化の詳細(前半) NO3- (土壌中硝化細菌 生成物) ↓ 根 ↓ NO3- ↓ 道管 ↓ NO3- ↓ 葉の細胞の細胞質 (硝酸還元酵素) ↓ NO2- ↓ 葉緑体内に移動 (亜硝酸還元酵素) ↓ NH4+ ●窒素同化の過程(後半) このプロセスが立体的な図で聞かれます。(08東海大医学部など) 以下の画像の図に相当するものが化学式なしで物質名で聞かれます。 この図で赤で表現したのが窒素(主にNH2)の動き,青はNH2であるが、バケツリレーの動きとは関係ない部分です。 以下のモデル的説明と 画像の化学式を照らしあわせて理解してください。 図での出題の場合は結果的に2つの「グルタミン酸」は同じ側(一方はNH2の受け手、一方は出し手)になるのもポイント その前提として登場物質を5つ説明します。 モデル アミノ基(NH2)を●と表記すると、●の「バケツリレー」の連続反応ということがよくわかります。 「登場物質一覧」 □ αケトグルタル酸(CHO) (光合成で作ったグルコースを好気呼吸解糖系・クエン酸回路で分解した中間産物) □●グルタミン酸 (αケトグルタル酸にアミノ基1つが結合) ●□●グルタミン (アミノ基2つが結合、グルタミン「酸」に更にアミノ基が加わったため「酸性アミノ酸」ではなくなり単なる「グルタミン」になります) ★各種有機酸(CHO) 光合成・好気呼吸中間産物由来 ★● 各種アミノ酸(CHON) 1、第一過程(グルタミン合成酵素) NH4++グルタミン酸→グルタミン+H20 ●+□● →●□●+H20 2、第二過程(グルタミン酸合成酵素) グルタミン+αケトグルタル酸 →グルタミン酸+グルタミン酸 ●□●+□ →□●+□● 3、第三過程(アミノ基転移酵素、トランスアミナーゼ) グルタミン酸+各種有機酸 →αケトグルタル酸+各種アミノ酸 □●+★ →□+★● NH2(●)のバケツリレーということがわかりますね。 |