問1 各生物の細胞が持っているリボソームRNAの遺伝子の類縁関係を調べて、生物の系統樹を作成したところ、 生物は3つのグループに分岐して進化していることがわかった。その3つを記せ。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 バクテリア(真正細菌)・アーキア(古細菌)・真核生物 解説 原核生物(核膜につつまれた核のない生物)を遺伝子分析すると、進化の初期の段階で、 最初の大きくバクテリア(真正細菌,eubacterium)と、メタン生成菌などアーキア(古細菌、archaebacterium)に分岐していることがわかった。 ・archiは「最初」「古い」を示すギリシャ語由来の接頭辞。archive(文書・記録アーカイブ)、 archaeology(考古学)も同じ接頭辞。 ・eu-は「真の」を示す接頭辞でeukaryote(真核生物)も同じ接頭辞。 アーキア型の細胞に、バクテリア型の好気性細菌(や原始ラン藻)が共生したのが真核生物になったと考えられる。 この遺伝子分析により、分類された3つのグループをドメインという。 古細菌(アーキア)ドメイン・真生細菌(バクテリア)ドメイン・真核生物ドメインとなる。 ★設問2 このrRNA遺伝子分析で始原生物に近いと推定される古細菌の多くや真正細菌の一部(下図で赤字の部分)には、 ある特徴をもった細菌が多かった。その特徴とは何か? ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 熱水などに住む好熱性細菌が多い。 解説 このことから熱水生態系が生命の発生の場所であった可能性が高まっている。なお、 昨日説明した35億年前の原核生物の化石も周りの岩石の分析から熱水にすんでいたのではないかと推定されている。 ★追加解説 原核生物がバクテリアとアーキアに分類されるという観点は、上記図とともに重要である。 なおミトコンドリアと葉緑体にもリボソームがあり、rRNAの遺伝子分析ができる。その結果、 両者はバクテリア型で、原始好気性細菌・原始ラン藻の一種が母体となる古細菌に共生して真核生物が登場したと考えられる(図の点線)。 なお共生しなかったものはそのままアーキアであり続けた。 古細菌(アーキア)は始原地球の古い環境に近い熱水で生きるものが多いことからそう命名された。 |