★設問1 ショウジョウバエにおいては、まず未受精卵の時点で存在する母性因子が受精ととも働く。 以降以下のように遺伝子が発現し、体節が決まっていく。 母性因子 ↓ ギャップ遺伝子 (胚を大まかに領域化) ↓ ペアルール遺伝子 (胚を7本の帯に区分する) ↓ セグメントポラリティ遺伝子 (体節を14の帯に区分し体節を作る) ホメオティック遺伝子 (各体節の特徴を決める) その際遺伝子が次の段階の遺伝子の発現に働く様子を簡単に説明せよ。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 答 核内で、遺伝子のDNAがmRNAに転写され、(スプライシングの後)細胞質に移動し、 リボソームで翻訳され、タンパク質となる。 そのタンパク質が、核に再び入り、 次の段階に働く遺伝子DNAの上流域に結合し、DNAの転写を促す転写因子として働く。 (これを各段階ごとに繰り返す) 解説 「DNA→mRNA→タンパク質→転写因子として次のDNAに結合」の流れは知っておいてほしい。(更に詳しいことは後期にやります) 各段階の遺伝子の名称は覚える必要はない。 ただセグメントポラりティー遺伝子(segmentpolality gene)はsegment(体節)に polarity(極性・方向性)を持たせる遺伝子で文字通りでわかりやすいので自然に知っておきましょう。 なお、ペアルール遺伝子が作る偽体節と、セグメントポラリティ遺伝子が作る体節は半体節分位置がずれる。 ★設問2 ショウジョウバエの体節の特徴を決めるホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)個の遺伝子が同じ染色体上に、 頭部決定遺伝子→尾部(腹部)決定遺伝子の順に整然と並んでいることがわかった。 のちに、マウスでもこれと相同なホメティック遺伝子(Hox遺伝子)染色体に計39個(つまり1染色体あたり平均10個)あり、 同じく頭部決定遺伝子→尾部(腹部)決定遺伝子の順に整然と並んでいることがわかった。 (染色体を並べると4列) マウスとショウジョウバエで相同なホメティック遺伝子群があることは、生物学的にどのような進化的な意味あいがあるかを答えよ。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 答 ショウジョウバエのような(発生時の原口が口となる)旧口動物と、 マウスのような(発生時の原口が肛門となる)新口動物が 相同な遺伝子を保持していることから、 旧口動物と新口動物が分岐する以前からこの遺伝子は獲得されていたと考えられる。 (詳しいことは後期にやります) 解説 ちなみにヒトのホメオティク遺伝子もマウスと同じ39個です。 |