今日は問題ではなく解説です。 ★酸素解離曲線 かつては計算も含め、 センター範囲だった。しかし今は計算については不可、出題もセンター出題が可能などうかのグレーゾーンだが、 2010年の本試で解説つきでグラフを読む問題として出題された。グラフが適切に読めれば知識がなくても できる問題であったが、もし同様の出題があった場合、背景知識があったほうが短時間で溶けるので説明します。 赤血球中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビンのように酸素と結合できる物質について、 ・縦軸をその物質が酸素と結合している%(最高100%) ・横軸を酸素濃度 とし、グラフに書いたのが酸素解離曲線である。 まず酸素が多ければ多いほど結合が増えるのでグラフは右上がりとなる。しかし物質や状態によってグラフが異なる。 ・Aは筋肉中のミオグロビンで酸素濃度が低くても多く結合できるので グラフが一番上(左)となる。酸素と結合し貯蔵する役割をする。 ・Bは赤血球のヘモグロビンでCO2濃度が低い場合である。 ・Cは赤血球中のヘモグロビンでCO2濃度が高い場合である。 CO2が高い場合がグラフが下(右)となるのは、同じ酸素濃度でも、CO2は酸素と競合しヘモグロビンと結合する「ライバル」なので、「ライバル」が多いほうが結合しにくいからである。 肺(上の赤丸)では「酸素が多、(新鮮な空気を吸っているので)CO2が少ない」のでBのグラフ上だったのが、末端組織に行くと「酸素が少、CO2が多い」のでグラフがCに移行する。 すると肺で多くの酸素を積み、組織では多くを離すようになるので、図の左の赤の→分の酸素を組織に与えることができる。 (もしこの「ライバル」関係がなければ、組織に与える酸素は緑→分となり効率が悪い。) なお、半分の物質が酸素と結合する時の酸素濃度をP50といい、図の水色で示される。水色→で示したように、P50はAがもっとも小さく、Cが最も大きい。 |