設問1 次の文章の( )に適切な語を入れよ 植物の細胞壁の主成分はセルロース繊維であり、分子レベルから見ると比較的大きな穴があいており、 溶媒(水)・溶質(大きな分子)ともに通す( 1 )である。 一方、細胞膜は2分子層のリン脂質と、2分子層の間を漂うように存在するタンパク質を主成分とし、 基本的には、溶媒(水)は通すが溶質(大きな分子)は通さない( 2 )である。 なお、細胞膜のみならず、ミトコンドリア・小胞体などの膜もほぼ同じ構造を持ち生体膜と総称する。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 解答 1全透膜 2半透膜 ★設問 細胞膜の性質 細胞膜は不完全な半透膜である。 溶媒(水)よりも大きく溶質よりは 小さいすき間を持つ半透膜の物理的性質から、半透膜を介して水分子がより高濃度側に移動する。 そのことを( 1 )といい、 この圧力を( 1 )圧という。これは細胞膜の成分としてはリン脂質の分子間のすき間が 関与した性質である。 また細胞膜の主成分がリン脂質なので、脂溶性のステロイド・チロキシンなどは細胞膜を透過する。 細胞膜をかいして比較的高分子な物質も移動ができる場合がある。この移動の通路は、 細胞膜の成分のうちタンパク質で形づくられている。 高濃度→低濃度方向に濃度差に従った移動の場合エネルギーは不要で( 2 )と言われる。 一方、イオンなどを濃度差に逆らって、エネルギーを用い低濃度→高濃度方向に移動させる作用を( 3 )という。 ( 4)イオンを細胞外に排出し、 ( 5 )イオンを細胞内に吸収する( 4 )ポンプが有名である。( 4 )ポンプが働くため、( 4 )イオンは細胞内のほうが低濃度、( 5 )は細胞内のほうが低濃度に保たれるが ( 4 )ポンプが停止すると、濃度差はなくなってしまう。 脂溶性物質の透過、( 2 )( 3 )など、細胞膜が水以外も特定の物質を通す性質を( 6 )という。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 解答 1浸透 2受動輸送(拡散) 3能動輸送 4ナトリウム 5カリウム 6選択(的)透過性 ★設問3 次の文章の( )内に適当な語を入れよ。 細胞膜を介して水分子がより高濃度(高張)側に移動することを浸透といい、その圧力を浸透圧という。 細胞の濃度より高濃度の液を高張液、等濃度の液を等張液、低濃度の液を低張液という。 動物細胞の浸透圧に関わる現象を赤血球で考えてみよう。 赤血球を蒸留水に入れると、 内部に水が入って行くため、膨張し、ついには破裂する( 1 )とよばれる現象が起こる。 ヒトでは( 2 )%、カエルでは0.65%の食塩水、すなわち( 3 )の中に細胞を入れると、 等張液のため、細胞の体積は変化しない。 高張液中では一旦は細胞が収縮するが、 溶質が膜透過性であればやがて溶質も 細胞内に入った後に内外等張になるまで吸水し、 元の体積に戻る。このような性質を示す溶質としては( 4 )がある。 植物細胞を高張液に浸すと、全透性である細胞壁に囲まれた部分の体積は変化しないが、 半透性の細胞膜で包まれた部分は収縮するため、( 5 )が起こる。内外等張で、 観察した細胞の約半数がわずかに原形質分離を起こしている状態を( 6 )とよぶ。 動物細胞の全て、高・等張液中の植物細胞では 「外液( 7 )=細胞( 7 )」 が成立する。 しかし、低張液中に植物細胞を浸した場合は、ある程度膨脹して停止する。 その状態(緊張状態)では 「外液( 8 )<細胞( 8 )」 であり、細胞内が高張の状態、つまり張りつめた状態で釣り合っていることになる。このような状態では 細胞膜と細胞壁の間に( 9 )が発生している。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 解答 1溶血 2、0,9 3生理(的)食塩水 4尿素 5原形質分離 6限界原形質分離 7浸透圧 8吸水力 9膨圧(壁圧) 解説 観察時には「観察した細胞の約半数が わずかに原形質分離を起こしている状態を限界原形質分離とする」 という認識はたびたびセンターで出題されている。 計算の話は明日するが、今日は動きの概要だけおさえておきたい。 図示すると以下のようになる。 動物細胞の膜は細胞膜、植物細胞は細胞膜の外に細胞壁がある。 ABCの部分について浸透圧の大小関係、 塩化カルシウム濃度の大小関係を、それぞれ=や<や>で示せ。(過去問) ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 解答 浸透圧 A=B=C 塩化カルシウム濃度 A=B>C=0 解説 BはAと同じ外液(塩化カルシウム溶液)が侵入し、細胞内液はCのみとなっている。 細胞内液は浸透圧は外液と等しいが、もともと存在していた細胞内容物によってその浸透圧を構成しており、 溶質塩化カルシウムは細胞内に侵入しないため 塩化カルシウム濃度についてはCはほぼ0である。 |