-------------------------------------------------------------------------------- ★都民の方は、今日が都知事選の投票日です。投票に行きましょう。 ★明日8月1日(月)〜4日(木)5時〜8時、御茶ノ水2号館でステップアップ生物1講習します。8時すぎに講師室に来ていただければ、講習の人優先ですが、その後質問を受けられます。また何か、話したいこと、相談、気分転換などありましたら、2号館に8時すぎに顔を出してください。 ★今日で遺伝終了。明日(8月)からは進化・系統分類特集します。 設問1 同じ株由来の花粉が柱頭についても、花粉管が発芽しなかったり、 発芽しても受精にいたらないなどの性質を何というか? またその性質がその植物に有利な点と不利な点を述べよ。 ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 答 自家不和合性(self-imcompatibility) 有利な点ー常に異なる遺伝子型の花粉が受精することにより、遺伝子構成の多様性を担保でき、環境変化があっても生存できる個体の出現率が高くなる。 不利な点ー少数個体の群になると受精が成立せず子孫が残せなくなる。 解説 有性生殖ではあるが、その中でも更に多様性を作ろうとするしくみが自家不和合性。自家不和合性の利点・欠点は有性生殖の利点・欠点と類似している。(有性生殖と無性生殖の比較はバックナンバー49参照) マメ科など自家受精タイプの植物は、自家不和合性とは逆に、多様性を犠牲にして子孫を残す確実性を進化的に選択してきた。 多くの植物は自家受精を積極的にするわけではないが、自家不和合性も持たず自家受精も許容もする中間タイプである。 ★設問2 自家不和合性には、2nである花粉母細胞やそれ以前の時代に形成された花粉の細胞壁を拒絶する「胞子体型」と、 減数分裂後、nとなった花粉四分子の持つ遺伝子型が共通の場合だけ拒否する「配偶体型」がある。 遺伝子型abの花粉親由来の多数の花粉が、遺伝子型ab,bc,cdの雌しべに受粉した時の受精成功率は何%か?胞子体型、配偶体型それぞれ答えよ。 ↓ ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 胞子体型 ・abの雌しべ→0% ・bcの雌しべ→0% ・cdの雌しべ→100% 配偶体型 ・abの雌しべ→0% ・bcの雌しべ→50% ・cdの雌しべ→100% 解説 ab由来の花粉はabの雌しべは受け入れない点、ab由来の花粉は、(abとは遺伝子がすべて異なる)cd由来の雌しべは100%受け入れる点は同じ。 次世代遺伝子型は (aかb)と(cかd)との交配 →ac,ad,bc,bdの4通りとなる。 ab由来の花粉を、雌しべbcが受け止める時差異が生じる。 胞子体型では花粉母細胞abやそれ以前の2nの段階で、ab遺伝子両方を発現させて作った細胞壁などのbの「臭い」を感知し、たとえ遺伝子型はaになった花粉でも拒否する。 しかし配偶体型ではnになった後の花粉(四分子)の遺伝子型だけが拒否対象となるため、ab由来の花粉bは拒否されても、ab由来の花粉aは拒否されず、 a+b→ab か a+c→ac の次世代ができる。 下図でAは胞子体型と配偶体型ともに拒否するが、@は胞子体型は拒否し、配偶体型は受け入れる。 ★設問3 自家不和合性に関する遺伝子についてホモの個体は存在するか? ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ 答 存在しない。 解説 胞子体型でも配偶体型でも、全く同じ遺伝子が受精以前に拒否するのでホモは存在しえない。ただし自家不和合性に関係のない他の遺伝子についてはホモもある |