問1 次の図は、ショウジョウバエの未受精卵における母性因子(mRNA)の分布と、受精後のタンパク質の分布を示したものである。これから何が何を促進し抑制するかを答えよ。 ↓ ↓ ↓ 答 前極付近に集中していたbicoid mRNAは受精後翻訳され、bicoidタンパク質は前極から後極に向け減っていく濃度勾配のある分布となる。 bicoidタンパク質はhunchback mRNAの翻訳を促進するとともに caudal mRNAの翻訳を阻害する。 一方、後極付近に集中していた nanos mRNAは受精後翻訳され、 nanosタンパク質は、後極から前極に向け減っていく濃度勾配のある分布となる。 nanosタンパク質はcaudal mRNAの翻訳を促進するとともに、 hunchback mRNAの翻訳を阻害する。 このようにして未受精卵ではhunchbackとcaudalのmRNAは均一に分布しているが、翻訳されるタンパク質には濃度勾配ができ、それが前後軸にそった異なる遺伝子発現に影響を及ぼす。 ★設問2 ショウジョウバエにおいては、以降以下のように遺伝子が発現し、体節が決まっていく。 母性因子 ↓ ギャップ遺伝子 (胚を大まかに領域化) ↓ ペアルール遺伝子 (胚を7本の帯に区分する) ↓ セグメントポラリティ遺伝子 (体節を14の帯に区分し体節を作る) ホメオティック遺伝子 (各体節の特徴を決める) その際遺伝子が次の段階の遺伝子の発現に働く様子を簡単に説明せよ。 ↓ ↓ ↓ (考える) ↓ ↓ ↓ 答 核内で、遺伝子のDNAがmRNAに転写され、(スプライシングの後)細胞質に移動し、 リボソームで翻訳され、タンパク質となる。 そのタンパク質が、核に再び入り、 次の段階に働く遺伝子DNAの上流域に結合し、DNAの転写を促す転写因子として働く。 (これを各段階ごとに繰り返す) 解説 「DNA→mRNA→タンパク質→転写因子として次のDNAに結合」の流れは知っておいてほしい。(更に詳しいことは後期にやります) まずギャップ遺伝子で大雑把な前後方向を決め 、ペアルール遺伝子(胚を7本の帯に区分する)で将来の14の体節がペア7個の領域に区分され、次に ただセグメントポラりティー遺伝子(segmentpolality gene)はsegment(体節)で polarity(極性・方向性)を持たせるわけです。 |