アミノ酸配列・DNAやRNAの塩基配列の相違点の比較から生物の類縁関係を推定する学問分野は分子進化学といい、 そうやって作られた系統樹を分子系統樹という。そこから進化における種の分化の年代を推定する。このような 分子時計という。 問1 ヒトとウマの祖先は0.8億年前に分岐したと考えられている。ヘモグロビンα鎖のアミノ酸配列は、141のアミノ酸からなり、ヒトとウマでは18アミノ酸が異なっている。進化の過程で、ヘモグロビンα鎖のアミノ酸座位1個に置換の起こる割合は、1年あたりどのぐらいか? ↓ ↓ ↓ ↓ 答 8.0×10の−10乗 解説 18アミノ酸はヒト・ウマ共通祖先から9個ずつ離れたと解釈する。 9/141変わるのに0.8億年なので、141/141、つまりアミノ酸座位が 1つ1つ確実に全て置換するのにかかる時間X年は 9/141:0.8億年(0,8×10の8乗) =141/141:X。 比例式では内側どうしの積と内側どうしの積は等しいので 9/141 ×(かける)x =0.8×10の8乗 X=141/9 ×0.8×10の8乗 年 この逆数が1年あたりの置換数になるので 9/(141×0.8) ×10の−8乗 =8.0×10の−10乗 問2 ヘモグロビンのアミノ酸が次の数異なる以下の生物の類縁関係を示す系統樹と、異なるアミノ酸数(から推定される分岐年代の比)を記せ。 ・・A ・・B・・ C・・ D A ・・・17・・・26・・37 B・・・・・・・・27・・43 C・・・・・・・・・・・49 D・・・・・・・・・・・・ ↓ ↓ ↓ (画面がうまく表示されなかった場合は以下の図で確認 @表の中でもっとも小さい(類縁関係が近い)数値に○をうつ。(この図の場合赤○)。そしてその2種は一番最近分岐したと考え、1つにまとめる。 A違いの17の半分8.5が共通祖先からの分岐年代の比となる。 BABをまとめたものとCとの差は最初の表のAとC、BとCの違いの平均値と計算する。同様にDとの差は AとD、BとDの違いの平均値とする。 Cそれを書き込むと新しい表ができ、この新表の中で最小の数値について○(この図の場合青○)をうち、1つにまとめる。 D違いの26.5個の半分の13.25が分岐年代の比となる。 EABCグループをまとめ、それと残されたDとの差を考えるが、最初の表にもどり、AとD、BとD、CとDの違いの平均値を書く。 この分析の方法は知っておいてほしい。 |